
Sign up to save your podcasts
Or


ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
WordPressはよく知られた選択肢ですが、使いやすいかというと話は別です。今回の内容では、詳しい人がいない企業で運用する前提に立って、WordPressの現実的な良し悪しがかなり率直に語られています。
ポイントは、WordPressは強力だが放っておいてうまく回る道具ではない、ということです。そこを曖昧にしたまま導入すると、運用で困るか、逆に囲い込まれた作りになって自分たちで触れないサイトになりがちです。
「HTML不要」「ノーコードで更新できる」と聞くと、すぐに自分たちで運用できそうに見えます。ですが実際には、管理画面の入り口がばらばらで、メニューやサイドバーの編集場所も分かりづらく、英語のまま残ったままところもあります。
つまり、自分でできることは多いものの、自分で覚えなければいけないことも多いのです。なんとかなるだろうで始めると、途中でかなり途方に暮れやすい。この感覚は、長くWordPressを使ってきた立場からの実感として重みがあります。
もう一つの大きな注意点は、セキュリティです。従来のHTMLサイトなら、放置していたからといってすぐ危険になるとは限りませんが、WordPressのようなインストール型の仕組みは違います。アップデートやプラグイン管理を怠ると、乗っ取りやマルウェア感染につながる可能性があります。
朝起きたら謎の通販サイトになっていた、サーバー会社から停止通知が来た、気づかないうちにウイルスメールをばらまいていた。そうした話は遠い世界の話ではなく、実際に起こりうるものとして挙げられています。
対策はシンプルで、自分で学ぶか、任せられる相手を持つかです。特にプラグインは、何でも入れればよいわけではなく、目利きが必要になります。
ここまで聞くと大変そうですが、それでもWordPressが強い理由ははっきりしています。ひとつは、自分たちでページを増やしたり、改善したりしやすい設計にできれば、試行回数を大きく増やせることです。
キャッチコピーを変える、画像を差し替える、ページを追加する。そうした改善をすぐ回せるのは大きな武器です。しかも、プラグイン市場が圧倒的に大きいため、やりたいことの多くにすでに解決策があります。普通に開発したら高額になるような機能でも、比較的低コストで導入できるのはWordPressならではです。
もちろんここでも目利きは必要ですが、競争のある市場だからこそ良いものが残りやすい、という考え方・方向性もできます。
今回印象的なのは、特に地域密着型や人間味、柔軟さを強みにしたい場合、きっちり整いすぎたものより手作り感がプラスに働くことがある、という視点です。今は加工が民主化しているぶん、整いすぎたものがかえって作り物っぽく見えてしまうこともあります。
そう考えると、現場で試しながら育てていけるWordPressの価値はやはり大きいと言えます。ただし、それは「運用できる作り」で納品されていることが前提です。ブログだけ更新できて他は触れない、といった作りでは、その強みが生きません。
今回の結論はかなり現場的です。最初の一歩としてはWixの有料プラン、本格活用ならWordPressにページビルダーを組み合わせる。この分け方です。Wixはメンテナンスから解放されやすく、学習用としても始めやすい。一方で、規模が広がり、拡張性や試行回数が重要になってくるとWordPressの方が強くなります。
つまり、どちらが上という話ではありません。今の体制で、どこまで自分たちで触りたいのか。どこまでサポートを前提にするのか。その現実に合わせて選ぶべき道具だということです。
WordPressは、覚えたら非常に強い道具です。機能追加もしやすく、改善サイクルも回しやすく、自社の運用力を育てる余地があります。その一方で、操作は簡単ではなく、セキュリティや保守も自分ごとになります。
だからこそ、「誰でもすぐ使える便利な仕組み」としてではなく、「学ぶか、支えてもらうかを前提に使う強い道具」として見るのが現実的です。その前提に立てば、WixとWordPressの使い分けもかなり整理しやすくなります。
こちらのフォームへどうぞ。
株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 [22/04/23]改めて現場的なWordPressの善し悪しを考える は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
コンテンツは会社の積み上げ資産になる。定期的に作っていけば、過去の自分たちが、今の自分たちを助けてくれる。私もそうお伝えしてきました。ただ、作ったものをそのまま積み上げるだけでは、負担になる可能性も考えなければいけないと思っています。
今回は、内容が古くなるというだけでなく、読む方の受け止め方が変わることを含めて、公開後のコンテンツをどう管理するかという話です。
Webの文章でも動画でも、一度作って評価されたものが、そのまま役に立ち続ける。そこには、受け取る人の判断基準や価値観が、大きく変わらないという前提があったんですね。
「この会社は良い情報を出している」「面白い会社だな」と感じてもらえた内容でも、別の時期に読まれれば、違う印象になるかもしれません。長い時間をかけて変わるものもありますし、何かの出来事をきっかけに、一つの話題への見方が急に変わることもあります。
公開したときの評価が、これからもそのまま続くとは限らないと考えておきたいんです。ただ数を増やせば良い資産になる、とは言いきれません。
もちろん、どんな内容かによって違いはあります。製品の特徴を説明する文章と、経営者の考え方を強く出すコラムでは、受け止め方が変わったときの影響も違うでしょう。全部が同じように危ない、という話ではありません。
むしろ、違いがあるからこそ、自分たちが何を公開しているのかを把握しておく必要があると思います。
中小企業のホームページでは、創業の経緯を書いていただくことがあります。どう苦労して、何を乗り越えてきたか。そうした話は、会社を知ってもらうために役立ちます。
ただ、昔は頑張ってこんな大変なことを乗り越えてきた、と前向きに書いたつもりでも、別の世代や立場の方からは、「その間、家族はどうしていたのだろう」「社員をそういうふうに扱ってきたのだろうか」と読まれることもあるんですね。
自分たちにとっての良い話が、読者にも同じ良い話として届くかを見直してみてください。社長日記や経営者のコラム、採用に関わる内容などは、特にその会社の価値観が見えるものです。
私自身、若い頃に経営者の本や講演に触れて、良いことが書いてあるけれど、その裏で苦労していた人もいるのでは、と感じたことがあります。ただ、その時代には、それが当たり前だったという部分もあるでしょう。
私は、発言はその時の文脈に沿って判断するべきだと思っています。今の価値観だけで、違う時代のものを簡単に責めることには注意が必要です。ただ、ネットでは必ずしも、そういう読み方をしてもらえるとは限りません。
何年も前の発言なのに、今言ったことのように紹介されている。まとめをよく見たら、実はずっと昔の話だった。そういうこともありますよね。発信した時の状況まで、一緒に伝わるとは限らないんです。
だから、どこにどんなことを書いたかを、きちんと管理しておいていただきたいと思います。自社のホームページだけでなく、経営者がSNSで発信したものや、外で受けたインタビューなどもあります。
書き散らかしたままにせず、どこに原稿や発言が出ているのかを確かめておくことです。内部のチェックを何でも厳しくしよう、という意味ではありません。
例えば、電話でインタビューを受けて、記事にしていただいた。その原稿をあまり見ないまま掲載されることもあるでしょう。でも、記事はその媒体や、その時代に合わせて編集されます。自分の言いたかったことが、どう表されているかは気にしておきたいところです。
自分たちで何を出したか分からなければ、後から見直そうとしても難しくなります。コンテンツを作ることと、その後も扱えるようにしておくことを、一緒に考えてください。
まずは、自社サイトの中で、考え方や価値観が強く表れているコンテンツを見直してみてください。今の状況や、これからの流れを考えると、誤解を生みそうなところはないでしょうか。
当時はそういう意味ではなかったのに、と不本意に感じるかもしれません。私も、当時の文脈で読んでほしいと思います。ただ、読む方がそこまで踏まえてくださるとは限らないので、必要な部分へ手を入れることも考えたいんですね。
コンテンツは、公開した後も見直すことを前提にして作っていく必要があります。以前のように、積み上がるからどんどん作りましょうとだけ言うのは、少し無責任になってしまうと感じています。
敏感な話題へ、商売と関係がないのに無理に触れる必要もないでしょう。ただ、その話題を扱うことが仕事そのものである業界では、避けられない場合もあります。そこは一律に決めるのではなく、扱う内容によって考えることです。
大きくなりすぎたサイトなら、内容をコンパクトに整理するきっかけにしてもいいと思います。数が増えることだけを良いこととせず、自社がどういう情報を出す会社なのか、その方向性も見渡してみてください。
過去に作ったものを生かしていくためにも、どこに何があり、今はどう受け取られるかを知っておく。作って終わりではない、というところから、コンテンツの捉え方を少し変えていただければと思います。
こちらのフォームへどうぞ。
株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第324回:Webコンテンツを資産にするには、公開後の見直しと管理が必要 は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
国の資料と聞くと、大企業向けで、自分たちには遠い話だと感じることがあります。しかも「デジタルガバナンス・コード」という名前では、なおさら身構えてしまうんですよね。ですが今回の話では、この資料はむしろかなり現場の声を踏まえており、中小企業にとっても読む価値が高いと位置づけられています。
特に重要なのは、流行語としてDXを追うことではなく、なぜ変わらなければいけないのかを腹落ちさせることです。その意味で、この資料は単なる制度説明ではなく、経営の考え方・方向性を整える材料になっています。
資料の中で挙げられている「社長がAIをやると言い、現場が戸惑う」「号令は出るが仕組みが伴わない」といった例は、かなり生々しい内容です。ありがちな掛け声倒れや、危機感の共有不足がそのまま言語化されていて、笑えないがよく分かるという感触があります。
この点が大きいのは、単に理想論を並べているのではなく、実際に組織の中で何がつまずきやすいかを押さえているからです。だからこそ、読みながら自社の状態に引き寄せて考えやすい資料になっています。
今回の整理では、IT化とDXは上下関係ではありません。どちらも必要であり、きれいに切り分けられるものでもありません。そのうえで、実際の現場上の理解としては、既存のプロセスを効率化するのがIT化、新しくできることを増やすのがDX、という捉え方がしっくりきます。
顧客管理やペーパーレス化、ビデオ会議や文字起こしの導入は、いまある業務をより回しやすくする話です。一方で、デジタルの力によって今までできなかった予測や提案、サービスづくりが可能になるなら、それはDXに近づいていきます。
ここを混同すると、DXという言葉だけが先行してしまうんですよね。何を良くしたいのか、既存業務を磨きたいのか、新しい収益の入口を作りたいのか。その違いを意識するだけでも、進め方はかなり変わります。
今回かなり強く出てくるのは、「そうしないと稼げない」という現実です。多くの市場はすでに満たされ、既存のやり方だけで戦い続けるのは難しくなっています。守られている業界や、変わらないこと自体が価値になる領域を除けば、どこかで新しい価値の作り方を見つけなければ立ち行かなくなる、という見立てです。
資料の中でも、動画配信サービスやECによって既存の業態が大きく揺れた例が出てきます。ここで示されているのは、「そのまま維持して生き残ろう」ではなく、「変わって対応しよう」という方向です。少し厳しく聞こえますが、現実を直視したメッセージでもあります。
大事なのは、デジタルそのものが目的ではないことです。新しい価値を作るために、いま一番使いやすく、効果も高い武器がデジタルである。だから向き合う必要がある、という順番です。
資料が示す成功ポイントも印象的です。経営者の意思決定、気づきを得る機会、取り組みやすいところからの成功体験、外部人材の活用、長期視点での試行錯誤。どれも地味ですが、本質的な項目です。
裏を返せば、DXは思いつきや掛け声で進むものではありません。いきなり大きく変えるより、まずは着手しやすいところで成果を出し、そこからノウハウと人材を育てていく方が現実的です。経営が厳しい局面にあるなら、なおさら地に足のついた進め方が必要になります。
「デジタルガバナンス・コード」を読む価値は、流行語としてのDXを知ることではなく、今の市場で企業がどう変わる必要があるのかを整理できる点にあります。IT化とDXの違いを無理なく理解し、自社がどこから手を付けるべきかを考える土台になります。
国の資料だからと距離を置くのではなく、現場感のある経営資料として読む。そうすると、変化を迫られている理由も、取り組み方も見えやすくなります。まずは最初の導入部分だけでも読む価値がある、という今回の勧め方にはかなり納得感があります。
こちらのフォームへどうぞ。
株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 [22/04/15]経産省の資料「デジタルガバナンス・コード」は必読 は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
今回取り上げられているのは、経済産業省の AI 導入ガイドブックです。ただ、話の本質は AI そのものではなく、未知の技術や新しい手法を自社にどう取り込むかという考え方にあります。だからこの内容は、そのまま Web 活用や IT 導入にも読み替えられます。
Webサイトはある、システムも少し入っている。けれど、活用できている実感がない。何をやればいいかも、どこまで自社でやるべきかも曖昧。そうした状態の会社にとって必要なのは、いきなり新しいツールを探すことではなく、導入前の整理を一度きちんと経験することです。
Web や IT を活用しようとすると、つい大きな構想から入りたくなります。Webサイトを作ったのだから一気に集客も改善も進めたい。システムを入れるのだから一気に効率化したい。ですが、慣れていない会社ほど、小さく素早く始めるほうが現実的です。
たとえば、よく聞かれる質問を FAQ に載せる。業務の途中でお客様の声を集めて掲載できるようにする。毎日の業務記録を完璧に管理するのではなく、まず一日の振り返りだけを残す。そうした小さな運用でも、続ければ会社の状態は変わっていきます。
重要なのは、最初から大きなことをやることではなく、継続できる最小単位を見つけることです。そこで初めて、改善が習慣になります。
もう一つ大事なのは、社内への浸透です。Web や IT の活用は、担当者だけが頑張っても進みにくい領域です。会社としてなぜ変わる必要があるのか、何のためにやるのか、どんな姿を目指すのか。この話を経営者が言葉として示せるかどうかで、進み方は大きく変わります。
立派な資料を配ることより、「こういう会社にしたい」「そのためにこの取り組みが必要だ」と腹落ちする言葉で伝えることのほうが効きます。人は仕組みだけでは動きません。とくに変化を伴うときは、誰が本気で進めるのかが見えないと、表向きの協力すら得にくくなります。
だから、最初は経営者が旗を振ることが大前提です。そのうえで、実際に進める推進役を明確にする。少人数でもよいので、責任の所在が見える形にしたほうが動きます。
導入前の整理でいちばん重要なのは、自社の業務や収益の流れを分割して見ることです。何となく「集客が弱い」「業務が非効率だ」と言うだけでは、改善の打ち手は定まりません。
たとえば、受注、販売、フォロー、アフターサービス、問い合わせ対応など、流れを分けてみる。そのうえで、どこに問題があり、どこにボトルネックがあり、どこなら Web や IT の資産をはめ込めるかを考える。こうして分けるだけでも、見え方がかなり変わります。
しかも、この分割ができると、予算判断もしやすくなります。どこにどれだけの改善余地があり、そこにいくらまで投じられるかを考えやすくなるからです。手法ありきではなく、問題の場所から考える。その順番が大切です。
業務を分けて問題を見つけたら、次は優先順位です。全部を一度に改善できる会社はまずありません。だから、事業への影響が大きいところからやるのか、小さな成功体験を積みやすいところからやるのか、その時点で順番を決めておく必要があります。
ここまで自社で考えておくと、外部の制作会社やコンサルタント、広告代理店と話すときにも判断しやすくなります。逆に、何も整理せずに「うちの問題も含めて提案してください」とだけ投げると、どうしてもテンプレート的な提案が混ざりやすくなります。提案する側も無料の初期段階で深く入りにくいため、これはある意味当然です。
その結果、提案を受けた側は良し悪しを判断しづらくなり、導入後に「思ったほど成果が出ない」という不幸が起きやすくなります。発注側も受注側も苦しくなるので、前段の整理はできるだけ自社で一度やってみたほうがいいのです。
もちろん、分析から全部を自力で完璧にやる必要はありません。忙しいので、そこも含めて一緒に考えてほしいという相談は十分ありです。ただ、何も考えずに丸投げするのと、一度自社で悩んだうえで相談するのとでは、得られるものが違います。
ここまでは自社で持つ。ここから先は専門家のほうが効率的。この線引きを持てるようになること自体が、導入の大きな前進です。ガイドブックが価値を持つのも、まさにその土台を言語化してくれているからだと思います。
Web や IT をうまく使える会社になるために必要なのは、新しいツールを知ることだけではありません。小さく始めること、経営者が意味を示すこと、自社の流れを分けて問題を見つけること、そして優先順位をつけてから外部と話すこと。この順番を踏むことが大切です。
導入前の整理は地味ですが、ここを飛ばすと後で迷いが増えます。逆に、一度でもこのプロセスを体験しておくと、次からの判断がかなり楽になります。Web 活用で悩んでいる会社ほど、まずはこの前段の整理から見直す価値があります。
こちらのフォームへどうぞ。
株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第323回:経済産業省のDX・AI導入ガイドブックはWeb活用で悩んでいるなら、一読の価値あり は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
ウェブやITに苦手意識があると、専門用語が並ぶ記事や大企業の事例は、それだけで読む気がなくなりがちです。自分たちには関係ない、規模が違う、難しそうだ。そう感じて閉じてしまうのは自然ですが、それではもったいないと今回の内容は語っています。
大事なのは、記事に書かれているシステムや流行語をそのまま飲み込むことではありません。その奥にある「何を実現したかったのか」を取り出すことです。そこまでできると、苦手な分野の記事でも一気に実際の現場のヒントに変わります。
今はAIや機械学習、クラウドや各種ツールなど、IT的な話題に触れない方が難しい時代です。ただ、中小・小規模事業者の立場でそれらを見たとき、「結局うちには無理では」と感じてしまうことも多いはずです。
その原因の一つは、記事の表面に出てくるものがたいてい手段だからです。何を使ったか、どんなシステムを入れたか、どんな環境変化があったか。そこに目を奪われると、自分たちとの距離が一気に開いてしまうんですよね。
しかし、手段はあくまで手段です。そこに引っ張られすぎると、本当に参考にすべき部分を見失います。
今回の核は、HOWとWHATを分けるという考え方です。システム導入やコロナ対応のような表向きの要素をいったん脇に置き、「何を変えたかったのか」「なぜそれをやったのか」を見る。これだけで、記事の見え方がかなり変わります。
たとえばGoogleクラウドの事例記事も、そのまま読めば専門用語だらけで、自分には関係ないと感じやすい内容です。ですが、そこで実現したかったことだけを抜き出すと、従業員の負担を減らしたい、固定費を下げたい、お客さんが自分で済ませられる方が満足しやすい、といったかなり具体的で身近な話に変わってきます。
さらに、記事に明記されていないことまで想像できるようになります。できるだけ触れたくない、繁忙期でも混乱しない形にしたい、採用や現場の負担も考えたい。そうした読み替えができれば、専門記事は急に宝の山になります。
ここで重要なのは、同じシステムを入れる必要はないという点です。記事から見えてきた「やりたいこと」に対して、自分たちのやり方で少しでも近づけないかを考えればよいのです。
注文の流れを変えるだけで負担を減らせないか。紙の運用でも、お客さんが声を出さずに済む工夫はできないか。価格の付け方やルール整理だけで会計を分かりやすくできないか。こう考え始めると、急に実行可能な話になります。
つまり、事例を丸ごと真似する必要はありません。参考にすべきなのは、そこにある構造です。何を楽にしたかったのか、何を改善したかったのか、そのためにどんな発想の転換があったのか。そこを取り出せれば十分です。
この読み方ができるようになると、苦手分野の記事を無視しなくてよくなります。むしろ、自社とは遠そうに見える分野ほど、発想のヒントが多くなります。ここ数年のさまざまな実験や試行錯誤は、そのまま参考情報の蓄積でもあるからです。
そして一度この感覚をつかむと、ITへの苦手意識も少しずつ薄れていきます。分からない単語が並んでいても、その奥にある目的を拾えるようになるからです。全部を理解しなくてよいと思えるだけでも、情報収集のハードルはかなり下がります。
苦手な分野の記事から学ぶコツは、システム名や流行語をそのまま追うことではなく、手段と表向きの理由をいったん外して読むことです。そこで見えてくるのは、相手が本当に実現したかったことと、その背景にある課題です。
記事を読んで「うちには無理だ」で終わらせるのではなく、「何を変えたかったのか」に目を向ける。そのうえで、自分たちならどんな形で近づけるかを考える。この順番に変えるだけで、苦手な分野の記事も実際の現場のヒントとして使えるようになります。
こちらのフォームへどうぞ。
株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 [22/04/07]苦手な分野の記事から役立つエッセンスを得る方法 は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
高級食パンがなぜ急速に勢いを失ったのか。この問いに対して、単に「名前が悪目立ちした」「主食に高価格は合わない」と片づけるだけでは、Web活用の教訓としてはもったいないと感じます。今回の話で重要なのは、露出のさせ方と、インターネット上で評価される条件が、商品特性とずれていたのではないかという視点です。
話題になることは、つい良いことのように見えます。ですが、誰に届くかをコントロールしにくいネットでは、露出が増えるほど誤解や反発も増えます。高級食パンの動きは、その怖さをかなりわかりやすく示していました。
まず押さえたいのは、SNSでバズることと、世の中全体に浸透することは同じではないという点です。Twitter で盛り上がっている、まとめサイトで話題になっている、テレビが拾っている。その流れを見ると、つい「みんな知っている」と思いがちです。
ですが実際には、そこで反応しているのは一部です。しかも、自社の商圏と関係のない人にも大量に届いてしまうんですよね。全国区で戦う企業ならまだしも、多くの中小企業や店舗商売にとって、商圏外の人に広く知られることは、利益よりもリスクのほうが大きくなりがちです。
この時点で、露出の評価軸を変える必要があります。たくさん見られたかではなく、来てほしい人に届いたかで考えるべきです。
高級食パンの例がさらに難しかったのは、商品が食べ物だったことです。味、香り、食感は、インターネット越しには伝わりません。スペックで比較しやすい商品なら、数字や機能である程度は議論できます。ですが食べ物は、そもそも主観の差が大きく、しかもネットでは決め手が伝わりにくい。
そうなると、見た目や雰囲気、値段、ネーミングのような周辺要素ばかりが話題になります。しかも高級食パンの価格帯は、激安でも超高級でもない中間の位置にありました。この中途半端な高級感は、もっとも文句が出やすい帯でもあります。高いのに絶対的な贅沢品ではなく、安いから許されるわけでもない。だから評価が割れやすいのです。
つまり、ネット上で好意的な共感が広がる条件と、商品自体の強みがうまく噛み合っていなかった可能性があります。
もう一つ大きいのは、今の受け手が「作られた露出」に敏感だということです。加工、演出、盛った見せ方。そうしたことを、今は一般の人も日常的に体験しています。自分でも簡単に印象を変えられるからこそ、逆に他人の演出にも気づきやすくなっています。
その結果、仕掛けられたブームや持ち上げられた人気に対して、「本当にそうなのか」という疑いの目が向きやすくなりました。高級食パンは、名前の付け方も含めて、まさにそこに引っかかりやすい見せ方だったのだと思います。話題化のための演出が、商品理解より先に立ってしまうと、受け手は冷めやすくなります。
良い意味での露出を狙ったつもりでも、結果として「作られた感じ」が先に立ってしまえば、長続きしません。
ここから導ける実際の現場上の示唆はかなりす。自社の商品やサービスは、わかってくれる人に届くように見せるべきで、関係の薄い層までむやみに広げないほうがいいということです。
インターネットを使うと、露出を最大化したくなります。遠くからも人が来て、大きく売上が伸びる絵を想像しやすいからです。ですが実際には、広く知られるほど、誤解も増え、商圏外の雑音も増え、説明コストも増えます。来てほしい人にきちんと価値が伝わる導線を作るほうが、ずっと安定します。
採用でも紹介でも同じですが、近い圏内で理解のある人に届く設計のほうが、結果は良くなりやすいものです。まずはそこを丁寧に作るべきです。
もちろん、永遠に狭く閉じればいいという話ではありません。誤解を受けた相手にも説明できる窓口や体制が整い、少しずれた人が来ても理解してもらえる状態になったら、露出を広げていく余地はあります。
ただ、その前段階で大きく出るのは危険です。商品特性、伝わりにくさ、価格帯、受け手の反応、このあたりを踏まえて、どこまで見せるかを決める。高級食パンの例は、その順番を飛ばしたときの怖さを教えてくれるんです。
高級食パンの失速は、単にブームが去ったという話ではなく、露出のあり方と商品特性の噛み合わせを考える材料として見る価値があります。SNSで盛り上がることは、商売の成功を保証しません。とくに食べ物のようにネットで本質が伝わりにくい商品では、そのズレが大きく出ます。
だからこそ、露出は大きくすればいいのではなく、誰に、どこまで、どう伝えるかで設計する必要があります。自社を理解してくれる相手に正しく届くことを優先し、その先に少しずつ広げる。この順番を外さないことが、今の時代の現実的なやり方です。
こちらのフォームへどうぞ。
株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第322回:高級食パンはなぜ売れなくなったのか?令和時代の露出を考える は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
Webで情報を集めてきたお客様に、私たちはどう接したらいいのでしょうか。情報が足りないというより、たくさんあるけれど、どうしたらいいか分からない。そういう状態で来ていることを、まず前提にした方がいいと思います。
今回は、コンテンツを見てもらった後のやり取りや商談も含めて、お客様が自分で判断するために、どう一緒に考えていくかという話です。私自身の経験からも、情報を次々と渡せば進む、というものではないと感じています。
「こういう情報もありますよ」「新しい資料ができました」「こんな事例もあります」。お客様が知らない情報を提供したり、求められた資料を作って渡したりすれば、自然と話が進むと思ってしまうことがあります。
でも、お客様は会いに来る前に、ネットでたくさんの情報を吸収しているかもしれません。もうお腹いっぱいなんですね。まだ整理できていないところへ、さらに情報を上積みしても、それで何かが解決するとは思いにくいでしょう。
情報を渡す量より、お客様が今、その情報を扱える状態にあるかを見たいところです。買う側になったときのことを考えても、次々に資料をぶつけられるだけでは、つらいですよね。
情報を増やし続けると、「もういいや、いつものところで」「安いから、近いから」と決めてしまうこともあります。あるいは、「今は何とか回っているから、また後で」と、考えること自体を先へ延ばしてしまうかもしれません。
本来考えるべき課題や条件が置き去りになれば、仮に自社を選んでいただいても、後で問題が起きる可能性があります。売る側にとっても、買う側にとっても、良いことではないんですね。
もう一つは、「長年の経験から、あなたにはこれが合います」と教えていく接し方です。過去にこういうお客様がいた、自分はこう思う、といった話が多くなる形ですね。
売る側が情報を多く持っていて、お客様が教えてくださいと来ていた頃には、それでうまくいった経験もあると思います。ただ、今目の前にいる方の状況をあまり考慮せず、業種が同じだからこうですよ、と話してしまうと、押しつけがましく感じられることがあります。
自分たちの経験を話すことが、お客様の判断を助けているかどうかを確かめてください。良かれと思っていても、「結局、自分の商品を売りたいだけなのかな」と受け取られているかもしれません。
私も、お客様が大きな提案を受ける場に同席することがあります。過去の経験を基に、これがいいですよと次々に勧められても、お客様からは「結局、よく分からなかった」「何となく嫌な感じがした」という感想が出ることがあるんですね。
ちゃんとお客様を考えながらやっている、という方は、実際には一緒に判断する形になっているのかもしれません。ただ、自分だけで大丈夫と思わず、第三者からどう見えるかも入れてみるといいと思います。
私が目指した方がいいと思うのは、お客様が自分で判断するために、隣で一緒に考える存在になることです。「自分で決めた気持ちにさせればいい」という意味ではありません。本当に、自分で考えて決める過程を進んでいただくということです。
実際の進め方としては、四つの段階がいいのではないかと考えています。最初は、問題を特定することです。こちらから「あなたの問題はこれです」と言い切るのではなく、お客様が「うちは、これが問題だったんだ」と気づけるように、一緒に考えます。
次に、その問題に沿って解決方法を探すことです。何となく同じカテゴリーの商品を見比べるのではなく、「この問題を解決するには、どういう方法があるだろう」と、行き先の定まった探し方をしていただくんですね。
問題に合う解決方法を探し、自社に必要な条件を決めた上で、選択へ進む流れを支えます。三つ目は、価格はこのくらい、利用者の追加や変更はこのくらい、といった要件を定めることです。システムでいう要件定義、お客様から見れば、押さえておきたいポイントですね。
その上で、最後に「自分たちには、これがいい」と決められる。横からいろいろ助けてもらったとしても、自分たちが考えて決めた結果だと納得できる。その流れを作ることが、私は大事だと思います。
このやり方は、誰にでも買ってもらうためのものではありません。自社の商品がお役に立てそうなら、きちんと判断を助ける。そうでなければ、別のところを探した方がいいのではないか、とお伝えすることもあります。
合わないまま売上を作ってしまえば、後からクレームの多い案件になったり、対応する人に負担がかかったりします。私のところも人数が少ないので、一つトラブルを抱えると、ほかのお客様にまで迷惑がかかってしまいます。求められるスピードや柔軟性に、うちでは対応できないこともあります。
客観性を保ったまま話を進め、合うかどうかを一緒に確かめることが必要です。途中まで一緒に考えていたのに、売りたくなって強引に自社へ曲げてしまうと、お客様も気づくと思います。
Web上にたくさんコンテンツを出している会社ほど、自社のことは分かってもらえているはず、と思いがちです。でも、情報が多すぎて理解できていなかったり、むしろ誤解していたりすることもあるでしょう。サイトの中で、どう情報を見せるかも整理したいところです。
情報を渡した後に、さらに足し続けるのか。それとも、お客様が何を問題と捉え、何を条件に選ぶのかを一緒に考えるのか。コンテンツと、その後のやり取りをつなげて見直していただければと思います。
こちらのフォームへどうぞ。
株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第321回:情報を集めすぎて選べない買い手と、判断の過程を整理する は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
外部の人やサービスに遠隔で仕事を頼みたいけれど、うまく活用できない。ビデオ会議を試してみても、対面とは感じが違って、社内でなかなか受け入れてもらえない。そんなときに、お勧めしたい方法があります。
自分たちでゼロからやり方を考える前に、うまく運営されているオンラインサービスを、お客様として一度体験してみることです。機能の説明を聞くのとは違って、「これなら使えるな」という感覚を持てると思います。
製造業などでは、どうしてもその場で手を動かさなければならない仕事がありますよね。そういう部分まで、無理やり遠隔に置き換えようという話ではありません。
むしろ、そこに人や時間を集中できるように、直接関係のない業務で外部へ任せられることを考える。サービスを使う方法もあれば、遠隔で働いてくれる人を探す方法もあります。
自社で大事にしたい仕事に力をかけるために、ほかの部分の無駄を減らすというイメージを持っていただければと思います。
外部活用の話を聞くと、何でも変えなければいけないように感じるかもしれません。でも、そこまでする必要はありません。自分たちができるところからでいいんです。
オンラインの習い事や、遠隔で何かを教えてもらうサービスなど、興味がある分野のものを使ってみてください。お金をいただいてサービスを提供している方々は、どうすればよりよい体験になるかを日々考えています。
画面の見せ方、質問の受け方、進行の仕方など、実際に参加すると気づくことがあります。私も会議ツールを使い切れているとは思っていなくて、チャットで質問を募集する程度のことも多いのですが、うまい方は本当に滑らかに使いますよね。
カメラの位置や映る範囲、声の聞こえ方にも工夫があります。ノートパソコンに近づいて顔だけが大きく映っているときと、話している様子が自然に見えるときとでは、受ける印象が違います。
「このくらいのやり取りができるなら、自分たちも使えそうだ」と感じられる体験を、先に持つことが大切です。機材の名前や機能を並べられるだけでは、なかなかその感覚は得られません。
相手の事業をまねるのではなく、ツールの使い方やコミュニケーションの仕方を学ぶということですね。詳しい方に教えてもらえるならそれが早いですが、身近にいない場合にも取れる方法だと思います。
社内にビデオ会議などへ抵抗がある方がいれば、その方にこそ、よいサービスを体験してもらう意味があります。
自分たちだけで、とりあえずやってみる。それでやり取りがかみ合わなかったり、見え方や聞こえ方が悪かったりすると、「やっぱり遠隔は駄目だ」となりがちです。もともと乗り気ではなかった方は、もっと乗り気でなくなってしまいます。
そうなる前に、うまく使えばどんな体験を作れるのかを、受け手として知ってもらうといいと思います。「自分がこう感じたのなら、頑張ればお客様にも同じようなものを提供できそうだ」という見通しが持てますから。
もちろん、体験したサービスの方に、使っている道具やノウハウを何でも教えてもらえるとは限りません。サービスを利用する中で、こちらがどう案内され、どこで分かりやすいと感じたかを受け取ることから始めればいいんです。
遠隔でのやり取りに慣れたら、次は「非同期」も考えてみてください。ビデオ会議のように、お互いが同じ時間に参加するやり方だけが、リモートではありません。
例えば、ホームページの更新や書類をまとめる作業です。「明日の何時までに最初の案ができていればいい」という仕事なら、ずっと同じ時間につながっている必要はないですよね。もちろん、非同期で進められる仕事であることが前提です。
同じ時間に働くことを条件から外せると、仕事をお願いできる人の範囲も変わってきます。決まった時間帯は働けなくても、朝の用事を終えた後や、夜の数時間ならできるという方もいます。
私のコンサルティングでも、オンライン会議で話すやり取りと、思いついたことをチャットへ書いておいていただき、後でこちらが返すやり取りを組み合わせてきました。相談する側が「今は時間が合わないから、次の会議まで取っておこう」と考えずに済む場面があります。
一緒に話した方が進むことは時間を合わせ、それ以外は後で受け取れる形にする。遠隔でつながることに加えて、時間もずらせるようになると、外部の力を使う方法は広がっていくと思います。
こちらのフォームへどうぞ。
株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第320回:リモート活用がうまくいかないときは、よいサービスを受ける側から始める は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
今回のテーマは、集客や販促ではなく守りの話です。どれだけマーケティングで信用を積み上げても、セキュリティ事故が起きれば一気に崩れることがあります。とくに今回取り上げるEmotetは、オフィスファイルを使ったやり取りが多い会社なら、規模に関係なく現実的なリスクになりえます。
仕組み自体は昔からあるメール経由のマルウェアに近いのですが、今のEmotetはとにかく見分けがつきにくいのが特徴です。以前の怪しいメールのように、不自然な日本語や露骨な違和感が目立つわけではありません。取引先や関係者を装い、ごく自然な日本語で届きます。
しかも、単にアドレス帳を使って一斉送信するだけではなく、過去のメール本文まで持っていき、その文脈に乗せた返信の形で送ってくることがあります。「以前の案内に修正があります」「ご迷惑をおかけしました」など、思わず開いてしまいそうな内容で来る。これが非常に危険です。
添付ファイルはWordやExcelが中心で、開いたあとにマクロの有効化を求められる流れが多くなります。中小企業では日常的にマクロ付きファイルを使っている場面もあるので、「今回もそれだろう」と思って押してしまいやすい。しかも商用の支払い案内や季節の連絡など、内容も日本の実際の現場に寄せてきます。
Emotetの怖さは、自分の端末が壊れるだけでは終わらないことです。感染した端末から取引先や顧客へメールが送られ、そこからさらに感染が広がる可能性があります。つまり、自社が被害者であると同時に、加害側の起点にもなりえます。
そうなると、これまで積み上げた信用が大きく傷つきます。さらに、相手先の業務停止や調査対応まで話が広がれば、面倒ごとに巻き込まれる可能性もあります。だからこれは情報システム担当だけの話ではなく、経営やマーケティングの問題として見た方がよい、というのが今回の趣旨です。
今回の中では、少なくとも当時の主な対象はWindowsであり、MacやLinuxは同じ形では感染しにくいという話も出ていました。とはいえ、社内の業務端末の多くがWindowsで動いている会社は珍しくありません。だから「うちはITに強くないから関係ない」ではなく、むしろそういう会社ほど優先度が高いと考えるべきです。
対策は簡単ではありませんが、何もしないよりはずっとましです。まずは、感染確認ツールでWindows端末を一通り確認すること。持ち込み端末も含めて見た方が安全です。もし感染が見つかったら、プロセス停止、ネットワーク遮断、削除、パスワード変更、周囲への連絡といった対応が必要になります。
同時に、社内で「自然なメールでも添付ファイルは危ない」「マクロを安易に有効化しない」という認識を共有することも欠かせません。今回のEmotetは品質が高く、誰でも引っかかる可能性があるからこそ、個人の注意力だけでなく、組織としての前提を変える必要があります。
今回の中でかなり現実的だったのが、しばらくはファイルをメールで送らない方向へ寄せた方がよい、という話です。チャットツールやグループウェア、共有サーバーを使う。社内共有はGoogleドキュメントやスプレッドシートのような形へ寄せる。業界慣習ですぐには変えにくくても、少なくとも社内から切り替える価値はあります。
メールは便利ですが、送信者が本当に本人か分かりにくく、返信の連鎖で疲れていると疑う力も落ちます。その意味でも、効率化のためだけでなく、セキュリティのためにも脱メールを進める理由が増えたといえます。
今回強く出ていたのは、セキュリティは基本的に自己責任だという点です。送ってきた相手が悪いと言うことはできても、自社が無防備でよい理由にはなりません。だから、感染していないことを確認し、感染しにくい運用へ切り替え、もし起きた時の連絡と報告の流れまで含めて準備する必要があります。
守りの話は後回しにされがちですが、事故が起きた瞬間に、それまでの営業やマーケティングの努力を吹き飛ばします。積み上げた信用資産を失わないための土台として、ここは早めに手を打つべき領域です。
Emotetは、自然な文面、実在の取引先を装う送信、返信形式の悪用によって、これまでよりはるかに見抜きにくくなっています。オフィスファイルを日常的にやり取りしている会社なら、規模を問わず無視しにくい脅威です。
だからこそ、まずは端末確認と社内周知を行い、そのうえでメール添付とOffice前提の運用を少しずつ見直す必要があります。マーケティングで築いた信用を守るには、派手な施策より先に、事故を起こしにくい運用へ変えることが欠かせません。
こちらのフォームへどうぞ。
株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第319回:マーケで作った信用資産を失わないためのEmotet対策 は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
今回のテーマは、Web業界、とくに広告代理店や制作会社が今どういう状態にあるのかです。ノウハウ紹介ではなく、業界の地形を知る回です。ただ、ここを知っておくと、提案の受け止め方も、発注先との付き合い方も、自社がどこまでやるべきかの判断も変わってきます。
多くの事業会社にとって分かりにくいのが、手数料モデルの苦しさです。たとえば広告費100万円なら20万円が運用費になるとしても、広告費5万円なら1万円しか残りません。ところが運用型広告では、金額が小さくても管理や調整の手間はゼロにはなりません。AI任せに見えても、学習させるための整備や軌道修正、人の判断が必要です。
もともと広告代理店は枠を仕入れて売る商売でした。しかし今の主流は、継続的に運用し続ける広告です。クリエイティブの調整、データの確認、自動化が効く環境づくりまで含めると、昔よりずっと工数が重い。それなのに収益構造は昔の名残を引きずっているので、採算が崩れやすくなっています。
では成果報酬にすればよいかというと、そこも単純ではありません。代理店が正しい運用をしていても、競合が採算度外視で突っ込んできたり、市況が悪化したりすれば結果は崩れます。逆に頑張って成果を上げても、広告費を増やしてもらえなければ売上は増えません。どちらの方式にも無理が出やすいのが今の現実です。
もう一つ大きいのが、人が足りないことです。Web業界は若い人に人気があって、人材が豊富に見えるかもしれませんが、実際はどこも採用に苦労しています。高い給料を出し続けられるわけでもなく、即戦力は独立や一部企業へ流れやすい。結果として、育成が追いつかないまま現場に立つ人も増えます。
その状態では、レポートが分かりにくい、返答が遅い、ビジネス理解が浅い、といった不満が起きやすくなります。もちろん質の低い会社はありますが、まともにやっている会社でも厳しい状況に置かれている、という前提を持っておいた方が話がかみ合いやすくなります。
月数万円規模の案件を断られた時、「うちはなめられているのでは」と感じるかもしれません。でも実態としては、そこに十分な工数をかけると会社が持たない、という事情が大きいはずです。少額でも責任は重く、成果も求められる。その割に利益が出にくいから、どうしても選別が起きます。
さらに、広告で成果を出す難易度そのものも上がっています。10年から15年前のように、まだ誰も十分にやっていない市場で広告を出せば一気に伸びる、という状況は減りました。今はWebサイトも広告出稿も当たり前で、競争相手も多く、良い顧客候補は取り合いです。
つまり代理店側も、クライアント側も、昔より多くのリソースを投じないと成果が出にくい。広告業界の中に流れるお金の総量も伸びにくくなっているので、なおさら取り合いになります。今回取り上げられていた業界大手の動きも、このままでは苦しいという危機感の表れとして読むと筋が通ります。
ここから見えてくるのは、少額で始めるなら自社で学ぶ比重を上げた方がよい、ということです。管理画面を触り、小さく出稿し、短期キャンペーンやA/Bテストで肌感を持つ。最初はつまずいて当然ですが、プログラミングを一から覚えるような話ではありません。
自分たちで一度回してみると、代理店のレポートも読みやすくなり、何を頼むべきかも分かるようになります。伴走支援を受けながら進める形でもよいので、まずは自社に知識をためることが大切です。そのうえで売上や予算が育ってきた段階で外部へ広げた方が、世界の見え方が変わります。
今回の締めで強く出ていたのは、結局勝つのはスキルだけではなく、モチベーションのある会社だという点です。外部環境が厳しくなるほど、自社で理解しようとする姿勢、改善を回そうとする姿勢が差になります。全部を丸投げできる時代ではないからこそ、この差は大きくなります。
今のWeb業界は、運用型広告への変化、人手不足、競争激化によって、代理店も制作会社も楽ではありません。少額案件が断られるのも、手数料が高く見えるのも、背景にはそうした構造があります。
だから事業会社としては、不信感だけで受け止めるのではなく、自社でも一定の理解と経験を持つことが重要です。小さく始めて学び、外部と組む時に対等に判断できる状態を作る。業界の現状を知ることは、発注先への配慮のためだけでなく、自社の優先順位を決めるためにも必要です。
こちらのフォームへどうぞ。
株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第318回:事業者が押さえておくべきWeb業界の現状 は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
From the publisher's feed

174 Listeners

170 Listeners

23 Listeners

19 Listeners

1 Listeners

6 Listeners

7 Listeners

13 Listeners

22 Listeners

32 Listeners

0 Listeners

6 Listeners

4 Listeners

1 Listeners

6 Listeners