2024年2月4日 公現後第5主日
説教題:主イエスは問いかけながら、招く
聖書:ヨハネによる福音書 1:35−42、サムエル記 上 3:1−10、ヨハネの手紙 一 3:19−24、詩編 100
説教者:稲葉基嗣
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ヨハネによる福音書が一番最初に紹介するイエスさまの言葉は、イエスさまのもとに来たふたりの人たちに、イエスさまが問いかけるものでした。
「何を求めているのか」。この問いかけは、「何を探しているのか」とも訳せます。そんな風に急に問いかけられても、答えるのはとても難しいものです。何を求めて、人びとはイエスさまのもとに近づいてきたのでしょうか。
また、わたしたち自身も、一体、何を探して、イエスさまのもとに来るのでしょうか。わたしたちの心の奥深く、わたしたちの存在の根っこの部分で、わたしたちは一体何を求め、何を探しているのでしょうか。何度も何度も繰り返して、考えてみたくなる問いかけです。
そんな問いかけを受けたこのふたりの人たちは、「どこに泊まっておられるのですか」とイエスさまに問いかけました。彼らは、イエスさまと時間を共にしたいと願ったのでしょう。顔見知りになるのではなく、イエスさまと本当の意味で出会いたかったのです。
そんな彼らに、イエスさまは「来なさい。そうすれば分かる」と答えます。イエスさまについて来て、一緒に歩み、旅をして、イエスさまと共にいるならば、イエスさまのあらゆる行動を見て、イエスさまのことを知ることになる。イエスさまを通して、神を見つめることにもなるだろう。そして、イエスさまを見ることを通して、神がこの方を通して、わたしたちに行おうとしていることを見ることになるだろうということです。
きょう、わたしたちは何を求めて、イエスさまと出会うのでしょうか。どんな願いであっても、どんな叫びであっても、わたしたちが抱くものすべてをイエスさまは受け止め、わたしたちと出会い、信仰の旅を共に歩んでくださいます。
イエスさまは「何を探しているのか」とわたしたちに問いかけながら、わたしたちをこの旅へと招いています。イエスさまとの歩みを通して、わたしたちは何度も、何度も、新しい自分の願いや叫び、怯えて、不安に支配される心とも出会うのでしょう。
どんな風に人を愛したら良いのか。どんな風に生きれば良いのか。何を頼りにして歩めば良いのか。わからない。絶対これが正しいという答えもすぐには見つかりません。
けれど、イエスさまはそんなわたしたちの声を聞きたがっています。何を探しているのかと、問いかけ、わたしたちに呼びかけています。
「さぁ、あなたの話を聞かせてください。こっちにおいでよ。一緒にこの旅を歩みながら、探していこう。」