この番組は、数字がちょっと苦手な中小企業経営者の方が、数字に強くなって業績をばりばりあげてもらうための応援番組です。
今回も、山梨県の土着スーパーの元社長の小林久さんをゲストにお招きし、小林さんのご著書、「続・こうして店は潰れた」の内容にもとづき、小林さんのスーパーマーケット経営者としてのご経験をお伺いして行きます。
今回は、やまとが倒産してからどうなっていったのかという経緯についてお伺いします。
やまとが倒産した日、小林さんは、まず、弁護士のところへ行き、その指導に基づいて、やまとが倒産した旨の告知文を各店に掲示したそうです。
また、各店の店長を集め、やまとが倒産したことを、従業員、取引先に説明するよう指示したそうです。
さらに、新聞記者が取材に来たので、それに応じたところ、翌日の地元紙の1面に取り上げられたそうですが、好意的な内容の記事だったそうです。
閉店後のやまとでは、従業員の方が、棚の商品をバックヤードに戻す作業を献身的に行ってくれたそうです。
また、やまとの顧客や取引先からも、やまとが閉店すると困るといった声や、これまでたいへんお世話になったというお礼の声も届いたそうです。
その後、山梨県庁が、やまとの従業員の方の再就職の説明会を開いてくれたそうです。
そして、170件の求職に対し、240件の求人があり、翌年3月までに、全員が再就職できたそうです。
また、7割以上の取引業者は、債権を放棄してくれたり、従業員の方の引き受けをしてくれたそうです。
さらに、行政側にも、「なぜやまとを倒産させたのか」との苦情が届いていたそうですが、小林さんは、行政機関の方に迷惑をかけてしまい、申し訳ないと感じたそうです。
そして、破産手続きには裁判所や弁護士に支払う費用に1,000万円が必要になったことから、小林さんの知人の方がクラウドファンディングで3,000万円を集めてくれたそうです。
そこで、残りの2,000万円を、未払の給与や社会保険料などの支払いにあてたそうです。
最後に小林さんが自己分析したやまとが倒産した原因についてお話いただきました。
ひとつめは、社長である小林さんがなんでも自分で決めてしまったことだそうです。
ふたつめは、地域貢献をしたからといって、それが、必ずしも業績の向上につながるわけではないのに、古い考え方で地域貢献を続けたことだそうです。
3つめは、やまとが現金商売であることから、油断して、社内に財務の専門家をおかず、長期的な視点での改善活動を行わなかったそうです。
4つめは、小林さんが社長を引き継いだ後の改善策が、ずっと通用すると考えてしまったことだそうです。
5つめは、上場している大手の卸売会社との取引は、人間的関係、いわゆる「顔」は通用せず、ドライに取引を解消されてしまうということに前もって気づかず、対策をしなかったことだそうです。