この番組は、数字がちょっと苦手な中小企業経営者の方が、数字に強くなって業績をばりばりあげてもらうための応援番組です。
今回も、山梨県の土着スーパーの元社長の小林久さんをゲストにお招きし、小林さんのご著書、「続・こうして店は潰れた」の内容にもとづき、小林さんのスーパーマーケット経営者としてのご経験をお伺いして行きます。
今回は、小林さんが、やまとを黒字化させた後、どのように事業を展開していったのかということについてお伺いします。
小林さんが、やまとの社長を引き継ぎ、事業を黒字化してからは、取引銀行などが協力的になってきたそうです。
そこで、今後、どのように事業を展開していったらよいかということを考えていたところ、新聞で、山梨県の老舗のスーパーが、大手スーパーの侵攻によって閉店に追い込まれたという記事をみかけたそうです。
そして、小林さんは、「もしかしたら、その閉店したスーパーは、やまとだったかもしれない」と感じたそうです。
そこで、すぐにそのスーパーへ行き、店の資産や従業員の雇用をそのままやまとが引き継ぐとの同意を得、店の営業を再開したそうです。
そうしたところ、そのお店のそれまでの顧客からとてもよろこばれたそうです。
そこで、小林さんは、やまとが黒字化できたことの恩返しとして、これからは、大手のスーパーに追い込まれ、閉店せざるを得なくなったスーパーの事業を引き継ぎ、地域の利用者が困ることのないように、地域土着スーパーとして事業展開していくことにしたそうです。
その結果、やまとは、最盛期は、売上高65億円、従業員数300人、店舗数16店までになりましたが、そのうちの12店が、他社の事業を引き継いだ居抜き店舗となったそうです。
その代わり、大手のスーパーなどからは、恨みを買うようにもなったそうです。
その後、やまとは、地域土着スーパーとして、利用者の支持を得るための、さまざまな施策を行っていったそうです。
そのひとつは、店舗に生ごみ処理機を店舗に置いことです。
その生ごみ処理機では、顧客に家庭から持ってきてもらった生ごみから肥料を製造し、それで育てた野菜を、店舗で販売したそうです。
その次は、レジ袋の有料化を、山梨県で最初に行ったそうです。
ただし、1枚2円のレジ袋は、レジのそばに置いてある、1円玉を入れたカップの中の1円玉で支払ってもらってもよいことにしたので、実質的には無料だったそうです。また、レジ袋を持参した顧客には、ポイントをつけたそうです。
その他には、ホームレスの方の雇用、フードバンクへの協力、ペットボトルのキャップの回収、甲府市の中心街への出店、テレビドラマの撮影協力など、多くのことを行ったそうです。
このような積極的な活動は、小林さんが、「有言実行ではなく実行有言であらねばならない」という信念があったからだそうです。
そうしていった結果、2008年の中小企業診断士試験の事例問題に、やまとの事業展開について出題されるまでになったそうです。