オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」
エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」
作詞作曲 楠元純一郎
編曲 山之内馨
パーソナリティー 楠元純一郎 東洋大学教授
パーソナリティー レオー 美術家
ゲスト 松尾欣治 哲学者・大学外部総合評価者
<LeoNRadio日の出 われらの商行為法04(契約の成立、多数債務者の連帯、保証人の連帯)>
ラジオ収録20201017
契約の成立、多数債務者の連帯、保証人の連帯
契約の成立
諾成契約(民商共通)
民522条 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。(諾成契約)
2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。
(原則)諾成契約(だくせい契約)←意思の合致だけで契約が成立
申込みの意思表示(最初に発せられる意思表示)
承諾の意思表示 (申込みに対して発せられる意思表示)
意思表示の合致→契約成立
※保険契約は諾成契約!
申込み→ ←②承諾
売買契約なら 売ります→ ←買います
どっちが申込み?どっちが承諾?
<一番目の意思表示> <二番目の意思表示>
(申込み) (承諾)
売りたいので買ってください! はい、買います!
買いたいので売ってください! はい、売ります!
(例外)要式契約
書面の作成等が必要 → 特別の定め
※保証契約(民446条)、金銭消費貸借契約(民587条の2)
A(借主) ←ーー金銭消費貸借契約ーー→ B(貸主)
担保 物的担保(質権・抵当権) ↗️
人的担保(保証人) ↗︎
| ↗︎
| ↙︎ (保証契約)
| ↙︎ 書面契約(要式契約)
C(保証人)↙︎
承諾は承諾者の意思およびライムラグ等によって遅れる場合がある。
→承諾期間を定めている場合(1週間後までに返事を待ちます!)
→隔地者間
申込みの意思表示・承諾の意思表示
承諾期間の定めあり
承諾期間の定めなし
対話者間(相手の意思を直ちに了知可能・・・対面・電話・オンライン会議)
隔地者間(相手の意思を直ちには了知不可能・・・非対面・郵便)
<承諾期間の定めがある場合>
民523条1項 承諾の期間を定めてした申込みは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。
承諾期間内→申込みを撤回できない。その間、申込みは存続。
A → B
これを100万円で買いませんか?1週間以内に返事を待ちます。(申込み)
3日後、Aはこれを120万円で買いたいCを発見→AはBに対し、原則として申込みを撤回不可
民法523条2項 申込者が前項の申込みに対して同項の期間内に承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。
8日後、AのBに対する申込みは失効→Bには黙って、Cと交渉、売却できる。
承諾期間後→申込みは失効→消えてなくなる→承諾があっても契約は不成立
(遅延した承諾の効力)
民524条 申込者は、遅延した承諾を新たな申込みとみなすことができる。
8日後、Bが遅れて承諾。どうなるか?→、申込みはすでに失効済みなので契約は成立しない。
ただ、Cとの交渉が不調。つまり、8日後は、Cにはこれを120万円で買う意思はなかった→魚が逃げた。→やっぱり、Bに買ってもらおうかな!→遅れてきたBの承諾→渡に船。→Bの新たな申込み→Aがそれに承諾すれば契約が成立する!
承諾期間の定めがある場合、契約の主導権(決定権)はいったい誰にあるの? →承諾期間内なら承諾者にあり!
<承諾の期間の定めがない場合>
民525条1項 承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。(隔地者間で承諾期間の定めなし)
2 対話者に対してした前項の申込みは、同項の規定にかかわらず、その対話が継続している間は、いつでも撤回することができる。
3 対話者に対してした第一項の申込みに対して対話が継続している間に申込者が承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。ただし、申込者が対話の終了後もその申込みが効力を失わない旨を表示したときは、この限りでない。
商507条 削除
対話者間で、契約の申込みを受けた者が直ちに承諾をしないときは、申込みは失効。
民法上、規定はないが、商法507条と同じように解されていたことから、民法との差異はないため、削除された。
(商人間の隔地者間で承諾期間の定めがない場合)B2Bの取引
商508条 商人である隔地者の間において承諾の期間を定めないで契約の申込みを受けた者が相当の期間内に承諾の通知を発しなかったときは、その申込みは、その効力を失う。
2 民法第五百二十四条の規定は、前項の場合について準用する。
※民法上、隔地者間で、承諾期間の定めがない場合、申込者が承諾の通知を受けるの(到達主義)に相当な期間を経過するまではその申込みを撤回できない(民525条1項)。←申込みの効力維持
商法上、商人間の隔地者間で、承諾期間の定めがない場合、申込みの効力は、承諾の通知が発せられない限り(発信主義)、失効する。←商行為の迅速性
多数債務者の連帯
民427条 数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。(分割債務)
商511条1項 数人の者がその一人又は全員のために商行為となる行為によって債務を負担したときは、その債務は、各自が連帯して負担する。(連帯債務)←信用強化
※債務者にとって商行為となる場合に限られ、相手方である債権者にとっての商行為性は問わない。
建設工事請負業の共同企業体の構成員が会社である場合、共同体がその事業のために第三者に対して負担した債務につき、共同企業体の各構成員は、商法511条1項により連帯責任を負う(最判平10・4・14民集52・3・813)。
保証人の連帯
商511条2項 保証人がある場合において、債務が主たる債務者の商行為によって生じたものであるとき、又は保証が商行為であるときは、主たる債務者及び保証人が各別の行為によって債務を負担したときであっても、その債務は、各自が連帯して負担する。
民法上は連帯保証の別段の合意のない限り、単純保証(民454条)
(催告の抗弁)
民452条 債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。
(検索の抗弁)
民453条 債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。
(連帯保証の場合の特則)
民454条 保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない。
「保証が商行為であるとき」→保証人にとり商行為であるだけでなく、債権者にとって商行為性を有する場合を包含(大判昭14・12・27民集18・1681)
催告の抗弁権→保証人が債務者に対して、まず主たる債務者に催告をなすべき旨を請求する権利
検索の抗弁権→保証人が債権者に対して、主たる債務者に弁済資力があること、その執行が容易であることを証明し、債権者が主たる債務者の財産につき執行をなすまで保証債務の履行を拒む権利。
(数人の保証人がある場合)
民456条 数人の保証人がある場合には、それらの保証人が各別の行為により債務を負担したときであっても、第四百二十七条の規定を適用する。(分別の利益)
分別の利益は連帯保証人には認められない。