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・インドの口頭試験 Viva Voce
Dṛṣṭa-ānuśravika-viṣaya-vitṛṣṇasya vaśīkāra-saṃjñā vairāgyam.
dṛṣṭa: seen 見たこと・経験したこと
文法ルールによって音が変わるところが1箇所あります。音声を参照ください。
人は、知恵を育むこともできれば、たとえば、その過程で、「自分が見ている世界だけが唯一の真実である」 と、勘違いしたりもする。 想像力を発揮してモチベーションを高めたり、未来を描くこともできれば、 過去の記憶に惑わされて、自分自身の可能性を制限してしまったりもする。
パタンジャリのヨガスートラによると、私たちは往々にして、そのように繰り返される 精神的なサイクルのなかで生きています。 でも、そのサイクルのなかで、人生に対する純粋な喜びよりも、恐怖心や疑い、批判的な質が高まったり、 がんばれば、がんばるほど自分の人生を生きている感覚がしなくなる。 もしそのような気付きがあるのであれば、陥りがちな思考パターンや習慣、良かれと思って取り組んでいるプラクティスを見直すことができます。 abhyāsaとは、現状に気づきを向け、方向性を持って、取り組むこと、その努力を続けることでした。
14節では、引き続きabhyāsa、プラクティスの質について述べられます。
14. Sa tu dīrghakālanairantaryasatkārāsevito dṛḍhabhūmiḥ.
Sa tu dīrghakāla-nairantarya-satkāra-āsevito (āsevitaḥ) dṛḍha-bhūmiḥ.
sa :that それ(abhyāsaは) tu :but, moreover さらには dīrgha kāla : for a long time 長い時間 nairantarya : without-gap, uninterruptedness 途切れない satkāra: done well, with truth, honor 誠実さを持って āsevito (āsevitaḥ) :performed, practiced assiduously 熱心に取り組む dṛḍha-bhūmiḥ : firmed しっかりとした + ground = established
確立された 長い時間を掛けて、途切れなく、誠実な態度で取り組むことで、プラクティスは身につきます。
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大きく分けると、7つの単語からなるスートラです。文法ルールによって音がかわる箇所が2箇所あります(音声参照)
abhyāsaとは、更にいうと、長い時間を掛けて、どんなときも、誠実に、心からの信頼とともに取り組むこと。 それによってabhyāsaが自分自身の一部になる、ヨガの道を歩む土台になる、そのような意味を持つスートラです。
たとえば茶道や弓道の「所作」のように、まるで自分の一部であるかのように、自然な振る舞いとして身につけるには、時間が掛かります。謙虚な気持ちを養う必要があります。
12. Abhyāsavairāgyābhyāṃ tannirodhaḥ.
Abhyāsa-vairāgyābhyāṃ tan (tat)-nirodhaḥ.
abhyāsa : practice, discipline, プラクティス、修練
vairāgya : dispassion, not reacting 囚われていない、反応しない
bhyāṃ : two 2つ
tat: there その
nirodhaḥ: stilling, secession, control 静まった、収まった
プラクティスを繰り返すことと、曇りのない視点を養うことで、静かなマインドを保つことができます。
Abhyasaとは、Being 現状に気づきを向け、Direction 方向性を明らかにして、Actionを取ること、そして取り続けることです。 知恵を育み、自分自身を整えていくこと、そしてそこから知恵を伝えることにもつながります。伝えようとすると、間違ったことが口からでてきたり、古い習慣が顔を出すことがありますが、不完全さがあったとしても知恵を広げていこうと行動することで、わたしたちはより深く学ぶことになります。
Vairagyaとは、ひとつの概念に囚われていないこと。たとえば考えと考えがぶつかりあった時にどのように反応するか、または反応しないかといったことです。この反応は、外側に表現される反応、そして内側に浮かび上がる反応です。 外側、また内側で本当はなにが起こっているかを理解しようとすることで、自分、他人にして優しい眼差し、柔軟な質、柔な心を育みながらプラクティスを続けていくことができます。
11. Anubhūtaviṣayāsampramoṣaḥ smṛtiḥ. Anubhūta-viṣaya-asampramoṣaḥ smṛtiḥ. anubhūta: experienced (既に)経験した viṣaya : object of senses 対象(もの・考え) asampramoṣaḥ : not fully set free, recollection 失われていない、回復できる smṛtiḥ : memory, act of remembering 記憶 記憶とは、こころに残っている過去の経験や思考のことです。 パタンジャリのヨガスートラでは、記憶は、こころ、マインドの働きの1つであり、こころに残っているもの、つまり覚い出せることです。なにを覚いだせるかというと、過去の経験や思考、印象を覚いだせるというもの。 私たちは日頃、記憶がいかに正しい、間違っているかを問題にしがちです。でも実際には、曖昧であったり、思い込みや見聞きした情報に左右されて歪んでしまったり、また失われてしまったり、記憶がいかに「はかない」ものかを知っています。カメラの録画機能のようにすべてを記録する機能ではないのです。 このスートラで鍵となる言葉が、viṣayaです。viṣayaは、五感を通して体験できるすべての出来事や思考のことです。 ヘルマン・ヘッセの小説「シッダールタ」では、禁欲生活を終えた主人公のシッダールタの前に一人の女性が現れます。誘われるがままその女性に近づき抱擁していると、その人の正体が毒蛇だと気づくという場面があります。 たとえばvisayaは、このように、姿、形を変えてどこからともなく目の前に現れ、私たちを苦ませるもの、または楽しませるもののことです。刺激のある体験が印象を生み、私たちのこころに残っているものがsmṛti記憶です。
Śabdajñānānupātī vastuśūnyo vikalpaḥ.
Śabda-jñāna-anupātī vastu-śūnyo (vastu-śūnyaḥ) vikalpaḥ.
Śabda: word, speech 言葉
想像は、実体のない言葉や概念から生まれます。
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私が慕っているヨギーのひとりに陰ヨガの第一人者であるポール・グリリーがいます。チャクラ理論の講座のなかで「中年の危機」という例えを用いてヨギーの生き方について説明してくれたことがあります。
たとえば、瞑想中かもしれませんし、夢のなかかもしれません。昔の恋人や懐かしい人のことが頭に浮かんだとき、どう反応するか、というものです。
続きは、Podcast ヨガを伝えることば 🔗より
前回のエピソードでは、正しい認識 pramāṇā についてご紹介しました。
物事や出来事について、なにが起こっているのかを正しく理解すること、「知覚力」や「認識力」、そして「判断力」。これらは自らの学びによって育まれるものだということでした。
パタンジャリのヨガスートラ、1章の8節では、苦しみの原因となるこころの働きが紹介されます。
8. Viparyayo mithyājñānamatadrūpapratiṣṭham.
Viparyayo (viparyayaḥ) mithyā-jñānam-atad-rūpa-pratiṣṭham.
Viparyayaḥ : misconception 勘違い・誤った認識 (ヴィパリヤヤまたはヴィパルヤヤ)
mithyā :false 間違った
jñānam : knowledge, understanding 知、理解(ジャーナムまたはギャーナム、ニャーナム)
rūpa :form, shape 姿・形
pratiṣṭham : foundation 原因
誤った認識は、根拠、実態のない思い込みから生まれます。
リクエストにお応えして、再度アシュタンガヨガを紹介するスートラをゆっくりと音読するところから。
前回のエピソードでは、パタンジャリのヨガスートラに出てくるアシュタンガヨーガ、ヨガの8つのステップ、八支則についての音声をご紹介しました。すると、リスナーさんから、すらっとは出てきませんね、難しかったです、そんな声をいただきました。
八支則がすらっと出てこなくても、サンスクリット語を知らなくても大丈夫です。たとえばアーサナの名前がわからなくても、ポーズを体現することができれば、その恩恵を深く受け取ることができます。
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7. Pratyakṣānumānāgamāḥ pramāṇāni.
Pratyakṣa-anumāna-āgamāḥ pramāṇāni.
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ひとつ前のスートラでは、こころの働きVrttiには5つあり、その1つ目が正しい認識であると定義されていました。
このスートラでは、正しい認識を得るための3つのプロセスを定義しています。
Pratyakṣa:direct perception 知覚(五感から知る)
anumāna:inference 推測(経験を反映させる)
āgamāḥ: tradiional doctrine, a sacred work 伝統、聖典から学べる知識(五感や経験から知り得ない宇宙感など)
pramāṇāni :correct cognitions 正しい認識
知覚、推測、そして聖典によって、人は正しい認識を育むことができます。
スートラという言葉について2つ目のエピソードで、とても短い文体であるとお伝えしました。あえてぎゅっと圧縮されたような文体で、それは、音で覚えやすくするためです。たとえば、文章が長すぎると耳で覚えるのが難しくなってしまいます。
パタンジャリのヨーガ・スートラのなかには、長いスートラもたくさんある!覚えられなくて困っている!と思われるかもしれません、たとえば、アシュタンガヨーガ、八支則について紹介されているスートラがあります。2章29節では8つの名詞がリストされていて、最後に「これらが八支則です」と述べられます。
29. Yamaniyamāsanaprāṇāyāmapratyāhāradhāraṇādhyāna- samādhayo'ṣṭāvaṅgāni.
Yama-niyama-āsana-prāṇāyāma-pratyāhāra-dhāraṇā- dhyāna-samādhayo (samādhayaḥ)-aṣṭau-aṅgāni.
きょうご紹介するスートラも単語の羅列からなるスートラです。5つのこころの働きについて5つの単語で表し定義しています。
6. Pramāṇaviparyayavikalpanidrāsmṛtayaḥ.
Pramāṇa-viparyaya-vikalpa-nidrā-smṛtayaḥ.
pramāṇa: 知覚 正しい認識 right perception
viparyaya: 間違い 誤った認識 misconception
vikalpa: イマジネーション、想像 imagination
nidrā: 眠り sleep state
smṛtayaḥ: 記憶 memories
(5つのこころの働きは)正しい認識、誤った認識、想像、眠り、記憶(です)。
前回のスートラで、vṛttiには苦しみを生むものと生まないものがあると定義されていました。みなさんは、どれが苦しみを生むこころの働きだと思いますか?
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